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お釈迦様と蛇霊(3)

○386話『驢馬の子前生物語』

 これは師(お釈迦様)が祇園精舎に滞在しておられたとき、元の妻の誘惑について語られたものである。祇園精舎に、出家したものの、元の妻に恋い焦がれて修業がおろそかになった修行僧がいた。お釈迦様はその修行僧を呼び出すと、「修行僧よ。その女は、いまお前に不利益なことをなすばかりでなく、過去にも、おまえはその女のために火に投げ込まれて死ぬところだったのを、賢者によってかろうじて命拾いをしたのだよ」と言って、過去のことを話された。

 昔、バーラーナシーでセーナカという名の王が国を治めていたとき、菩薩(お釈迦様)はサッカ(帝釈天)であった。その当時、セーナカ王は、ある竜王と親交を結んでいた。その竜王は、竜宮を離れて、陸上へ食物をとりに来ていたということである。そのとき、村の子供たちが彼を見て、
「こいつはへびだ」と言って土くれ等で彼を打った。王は遊園を散歩していてそれを目にとめ、「あの子供たちは、何をしておるのじゃ?」と尋ねた。「一匹の蛇を打ちすえているのでございます」と家来は答えた。「打たせてはならぬ。逃がしてやれ」と命じて、王は竜王を逃がしてやった。竜王は、九死に一生を得て、竜宮に帰り、たくさんの宝物をたずさえ、夜半に王の寝室に入った。それから彼は王にその宝物を捧げて「私はあなたのおかげで命拾いをしました」と礼を述べた。竜王は、王と親密になって、たびたびやって来ては、王に会った。竜王は、龍女たちのうちで、最も溌剌はつらつとしている一人の竜を、王を守護するために王のそば近くへ仕えさせ、「この女の姿が見えないときには、この呪文をお唱えください」と言って、一つの呪文を王に授けた。
 ある日のこと、王は、遊園へ行って、龍女と一緒に蓮池で水遊びをした。龍女は、一匹の水蛇を見つけて、自分もその姿となり、その蛇と一緒に、道ならぬ愛の行為におよんだのである。王は、彼女が見あたらないのをで「いったい何処どこへ行ってしまったのだろう」と思って、呪文をとなえたところ、龍女が道ならぬ道に踏み込んでいるのを見つけて、竹の棒で打ちすえた。龍女は怒ってそこから竜宮へもどった。
「なぜ戻ってきたのじゃ?」と竜王にたずねられると、「あなたの友達が、私が言うことを聞かないと云って、私の背中をぶつのです」と言って、傷を見せた。竜王は本当のことを知らないので、四人の竜の若者を呼びよせて、「行ってセーナカ王の寝室に侵入し、鼻息で籾殻もみがらを吹き飛ばすように、粉々にしてしまえ」と命じた。
 彼らは出かけて行き、王が寝台に横になる時間を見計らって部屋の中に忍び込んだ。彼らが忍び込んだちょうどそのとき、王はきさきに言った。「なあおまえ、龍女が帰ってしまったことを知っているか?」「存知ませぬ」「あやつは今日、わしたちが蓮池で遊んでいたとき、自分の姿を変えて、一匹の水蛇と一緒にけしからぬ振舞いにおよんだのじゃ。それでわしは、『こんなことをしてはならん』といましめる意味で、竹の棒であやつを打ちすえてやったのじゃ。あやつが竜宮へ戻って、わしの友人に、何か事実とは異なることを告げ口して、わしたちの友情を引き裂いてしまうことになりはせぬかと、わしは心配しておるのじゃ」
 それを聞いて、竜の若者たちは、そこからとって返して竜宮へ行き、そのよしを竜王に報告した。竜王は、心から恥じ入って、即座に王の寝室に飛んで行き、ことの仔細しさいを告げて許しを求め、「これが私のせめてもの償いです」と言って、総ての動物の話し声を聞き分けられる呪文を授けた。それから、「大王よ、これは極めて貴重な呪文です。もしもこの呪文をあなたが他人に授けると、授けたその直後に、火の中に落ち込んでしまうでしょう」とつけ加えた。王は「あいわかったぞ」と言って、その呪文を受けとった。王は、その時から、アリの話し声さえも、聞きとれるようになった。

 ある日のこと、王は大きなターラ樹の下に坐って、蜜や砂糖でこしらえた食べ物を食べていたとき、ひとしずくの蜜や、砂糖や、菓子のかけらを地面にこぼした。一匹のありがそれを見て「大きなターラ樹の下で王様の蜜壺が割れ、砂糖の荷車と、お菓子の荷車がひっくりかえったぞ。蜜や砂糖やお菓子を食べようぜ」と叫びながら、走りまわっていた。王は、そのアリの騒々しい声を聞いて苦笑した。王の近くに寄りかかっていた妃は、「いったい何をごらんになって、王さまはお笑いになったのかしら?」と不思議に思った。
 王が食べ物を食べ終わり、水浴びをして足を組んで坐っていたとき、一匹のはえが「さあ、おまえ。本能のおもむくまま、愛欲にふけろう」と言った。そのとき、妻の蠅は、夫蠅に、「ちょっとまってよ、あなた。いま、王様のために、家来たちが塗香を運んできますよ。王様が香を体に塗りつけるとき、足元に塗香の粉末が落ちるでしょう。わたしはそのとき、こぼれた粉末に身をまぶして、良い香の体となりますから、それからあとで、王様の背中で横になって楽しみましょう」と言った。王は、その話し声を聞いて、苦笑した。妃は「いったい、何をごらんになってお笑いになったのかしら?」と、再び不思議に思った。
 さらに、王は、夕食をとっていたとき、ひとかたまりの飯粒を地面にこぼしてしまった。蟻たちは「王家で食物の荷車がこわれた。その食べ物を食べる者がいないぞ」と叫んでいた。王は、それを聞いて、また笑った。妃は、黄金のスプーンを取って王に給仕しながら、「王様は、私をご覧になって、お笑いになったのではないかしら」と考えた。
 妃は、王と一緒に寝台にのぼって横になったとき、「どうしてお笑いになったの。王様」と尋ねた。右派、「どうしてわしがお前を笑うなどということがあろうか」と弁解したが、くりかえして問いつめられて、とうとう呪文のことを白状してしまった。そこで妃は王に、「あなたが知っていらっしゃる呪文を、私にもくださいな」と言い、王は「いや、やることはできぬ」とこばんだが、妃はなおもせがんだのである。王は、「もしこの呪文をお前に授けたら、わしは死ぬであろう」と言った。「たとえあなたが死ぬようなことがあっても、どうしても私にください」
 さすがの王も女には弱かったので「よろしい」と言って承知し、「この呪文を授けてわしは火の中に入ろう」と思って、遊園にむかって出ていった。そのとき、神々の王である帝釈天サッカは、この世を眺めわたしていたが、この出来事を見て、「この愚かな王は、女のために、『自分は火中に入ろう』と思って急いでいる。かれの命を救ってやらずばなるまい」と決心し、アスラの娘であるスジャーをともなぅて、バーラーナシーへやって来た。スジャーを牝山羊にし、自分は雄山羊となって、「普通の人々が自分を見ぬように」と心を配って、王の車の前方にいた。王と、車につながれた馬(驢馬)だけが山羊を見ることができ、ほかの誰も見なかった。
 山羊は、話のきっかけを生みだすために、牝山羊と一緒に、まるで交尾をしているかのように振舞った。車につながれている一頭の馬(驢馬)が、山羊を見て「おい山羊よ。俺達は前に『山羊というのは愚かで恥知らずだ』と伝え言うのを聞いたことがあるが、まだ見たことはなかったのだ。ところがお前は、ひそかに、隠れた場所で行なうべき非行を、こんな大勢で見ている俺達の前で行なって、恥ずかしいとも思わない。かつて聞いたことと、いま見ていることとは、まったく一致しているよ」と言って、最初の詩をとなえた。
『山羊は愚かと真実を、賢い者は言い伝う。ひそかな業をあからさま、なして恥じぬをごらんあれ』 
 それを聞いて山羊は二つの詩を唱えた。
『おまえの馬鹿も、同じこと、驢馬の息子よ、知りなさい。縄につながれ唇ゆがめ、顔うつむけて苦吟して、解き放たれても逃れない。友よ、お前は愚か者。お前が運ぶセーナカは、それよりさらに愚かなり』
 王は、、その両方の話をききわけた。それで、それを聞きながら、矢のように車を走らせた。驢馬は、その話を聞いて、さらに第四の詩をとなえた。
『私は馬鹿だと、君は知れ。それはともあれ、山羊王よ、セーナカ王がなにゆえに、愚かなるかを教えなさい』
 それを告げられて、山羊は第五の詩を唱えた。
『こよなき利益を得ながらも、妻に与えて自滅する。夫は愚かでその妻も、妻たる資格がないのだよ』
 王は山羊の言葉を聞いて「山羊王よ。お前はわし達を幸福にするに違いない。わし達に、なすべきことを、いますぐ教えてくれ」と言った。そこで山羊王は、王に、「大王よ、諸々の生き物のなかで、自分ほどいとおしいものはありません。たかが一人の愛人のために自らを破滅させ、かち得た名声を棄て去ることは正しくありません」と述べて、第六の詩を唱えた。
『あなたのように、人王よ、「われに愛し」と己が身を、捨てて女にかしづくな。己の身こそ、すぐれたり。すぐれしもののみ、尊べよ。利益名声かちとった、それからあとでいくらでも、愛人なんぞ得られよう』
 このように王に訓戒を与えた。王は満足して「山羊王よ。お前は何処からやってきたのか?」と尋ねた。「われは帝釈天である。大王よ、お前を憐れんで、死から逃れさせるためにやってきたのだ」
「神々の王よ、わたしは妃に『呪文を与える』と言ってしまいました。私は今、どのようにいたしたらよいでしょうか?」
「お前達2人とも身を滅ぼす必要はない。『技能に熟練するのに必要だ』と言って、何度か妃を打たせよ。この方法で、もはや呪文を取ろうとはしないであろう」 王は「かしこまりました」と言って承知した。帝釈天(お釈迦様)は王を教え諭してサッカの宮殿へ帰って行った。
 王は遊園へ行って、妃を呼んでこさせて言った。
「妃よ、そなたは呪文を手にいれたいのか?」「そうですわ、王さま」「それでは慣例に従いなさい」「慣例とはなんですの?」「背中を百回ばかり打つが、声を立ててはならないのだ」
 妃は呪文がほしくて「よろしゅうございます」と言って承知した。王は奴隷にむちをもたせて、妃の両横腹を打たせた。妃は、二、三回の鞭うちをこらえていたが、そのあとすぐに、「もう私は呪文なんかいりません」と泣き叫んだ。そこで王は、妃に、「そなたはわしを殺してまでも呪文を手にいれようとしたではないか」と言って、背中の皮がはがれるまで打たせてから、許してやった。妃は、それからというものは、もう呪文が欲しいなどと再び言うことができなかった。
 師は、この話をされて真理を明らかにされ、過去の前生を現在にあてはめられた。「その時の王は女に恋いこがれて出家生活がいやになっている修行僧であった。妃はもとの妻であった。驢馬は舎利弗サーリプッタであり、帝釈天サッカは実にわたくしであった」と。


テーマ : 心に響く言葉・メッセージ
ジャンル : 心と身体

プロフィール

真善美愛

Author:真善美愛
真善美愛まことと申します。東日本大震災の後、上野公園さんの『神言会-大本教神諭解説』に出会い、ぐちなお開祖・さぶろう聖師を通じてうしとら〔 艮 〕こんじんくにとこたちのみこと様に導かれます。それ以降、天の御先祖様(万軍の主、創造神)のお役に立ちたいと、良心神(個々の魂に宿る天帝の分魂、天照皇大御神)を奉じて活動しています。

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