第十六章「二度目の沓島詣で」 日露戦勝祈願

○第十六章 二度目の沓島詣で

△日露戦勝祈願

 西比利亞シベリアの風雲一変して、世はげて征露せいろの軍に心を一にし、武運長久を祈る各地の祈願も日毎にしげく勤められて来た。時は明治三十八年四月七日、教祖〔直子刀自〕は今日しも教主〔王仁三郎聖師〕二代世嗣〔澄子刀自〕を始めとして多くの信者を神前に集めて、いとおごそかに
此度こんど我が皇軍の勝利を祈願せんがめ、沓島めしまへ出修する事となった。いては今度の祈願は、最も大切な神業なれば、御供おともは一人も相成らぬから、左様各々おのおの御承知ありたい』
 ともうしわたしがあった。其時そのとき役員一同は
『教祖御一人をあのあら磯島いそじま御出おいでを願う事は誠に心もとなく、つ何かと御身の上も案じられる次第ゆえ、是非ぜひ御供をつけさす様、御進め申し上げます』
 と申し上げた時、教祖は暫時しばし御思案されてられたが
しばらば罪の少ない若者達を連れて行かん』
 其処そこで役員は、何處どこの誰にしようか彼にしようかと色々相談した結果、一番信者の中で若い後野やとのいち太郎たろうと、もう一人は教祖の血縁の中から、あのおおつきでんきちがよかろうと云う事になった。しかるに、伝吉の養父 大槻鹿しかぞうむねを交渉して見ると、名にしう大槻鹿造のことであるから、元来教祖に対して今日まで何かにつけて反感を持っている。案のじょう、伝吉を教祖の供としてさしつかわすことを拒絶した(※1)。役員もこれには少し困った。ほかの若者に伝吉の様な候補者がない所から、いろいろ心配している所へ、伝吉は養父のもとから逃げて来て、是非今度教祖の旅の供にしてくれとの殊勝しゅうしょうな決心に、始めて役員達も安心したのであった。

 いよいよ教祖沓島めしま出発が四月八日と決定したので、其の日は多くの信者が広前に参集して、教祖出修の途出かどでを祝った。供の次第はかなわなかったが、停車場〔綾部駅〕への見送りだけは許されたのであった。
 綾部停車場で信者達と別れた教祖は、途中つつがなく舞鶴に着車。例のおお丹生にわに立ち寄って、其処そこで船頭二人と一隻の船を雇われた。参籠中の食品は此処ここで整えねばならぬと云うので、麥粉はったいこ二升とほかに水二升をたるに入れ、其の他は燈火用の油、茣蓙ござすずりばこ、紙と云った順序に、きわめて簡単な支度をされたのである。船はぎ出された。海上は静かに沓島へと安着した。れより同島に於いて四十五日間と云う長い間、神へ祈願を篭める事となるので、三十日経過した所で、かく一度綾部から迎えに来る様にと、教祖は其の事を船頭に傳言ことづてもたした。船頭は其のおもむきを含んで此日の夕まぐれ、穏やかな波に漂いながら帰って来たのである。

(※1)
出口澄「開祖 沓島ごもりのこと」
 そのあとで、大騒ぎがもちあがりました。開祖様のお供をしたのは私の兄で、大槻伝吉〔注:直開祖三男〕、これは大槻鹿蔵の後をついています。それからもう一人ですが、この鹿造が、なぜ伝吉を女島めしま〔沓島〕へやったといって、あばれて来るのです。神様の御用で、大切な御役目ということはわかりませんから、これも私の姉で、一番仲の良かったおりょう(お龍さん)さんというのに罪をきせ、殺してしまうと言って夜になるとやって参ります。
 神様は、日本人に改心させるため、身うちにかたを出させるとお示しですが、ここに、型が出たわけで、身うちの者が神業のお邪魔をいたしました。きまって夜になると金の棒などを持ってやって来る。それではならぬというので、殺されてもよろしい、私は鹿造の前に行くといってお龍さんはある晩お酒の飲んで元気をつけ、聖師様や私達が護っている座敷を出ていきました。
 聖師様も心配されて、鹿造があばれたら抱きとめる手筈を作られ、お龍さんを見て、鹿造が飛びかかると、皆で抱きとめました。
 その騒ぎのうちに、灯が消えて、あたりはまっくらです。鹿造は暴れて大怪我をしました。そして、それは、だれがどうしたかわかりませんでしたが、私の隣の家に住んでいた巡査部長さんが飛んで来てくれまして、あなたは毎晩やって来て人を困らせ、あばれておられたが、とうとう転がり落ちてケガをしたでないかというふうに裁きをつけてくださいまして、事は解決いたしました。おかげで私と仲よしのお龍さんは無事でした。


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プロフィール

真善美愛

Author:真善美愛
真善美愛まことと申します。東日本大震災の後、上野公園さんの『神言会-大本教神諭解説』に出会い、ぐちなお開祖・さぶろう聖師を通じてうしとら〔 艮 〕こんじんくにとこたちのみこと様に導かれます。それ以降、天の御先祖様(万軍の主、創造神)のお役に立ちたいと、良心神(個々の魂に宿る天帝の分魂、天照皇大御神)を奉じて活動しています。

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