第十章「教祖の鞍馬詣で」 人は明日が大切/先で分る

△人は明日が大切

 八木やぎの福島〔開祖三女久子ひさこ、良人寅之介とらのすけ〕家では教祖達が立ち寄られた晩、会合所の祭神さいしん及び会場移転式が行われると云うので、近郷近在の多くの信者がめかけて、色々との準備に騒ぎをしているところであった。其処そこへ不意に教祖一行の立寄りと云う事を聞いて、信者共は一層いっそう神縁の有りがたさを感じた。
 家の中は上を下へと大騒ぎのにぎやかさをていしている。教祖の姿を見つけると、皆一々いちいち挨拶に出て来て、色々と旅情を慰めた。教祖は長途の旅に疲れた両足をも延ばさず、つものように整然ちゃんと端座していられる。
 教祖は其処そこで一同の懇願こんがんって祭主となって移転祭式を行う事となった。教祖は精進しょうじん潔斎けっさいの上、旅のころもを脱ぎ捨て、信者のすすむるあたらしい神衣を体に着けて、いとも、おごそかに祭式が行われた。それが終わると、信者一同を一室に集めて、神諭の有難ありがたい話が始められた。信者達は今更いまさら教祖の神示に渇仰かつぎょうしてまなかった。一同充分神徳の広大なるに感泣かんきゅうしたのである。
 多くの信者達が退散したのは夜の十一時頃。後は福島家の人々と教祖一行の人達のみとなった。教祖はやや打ち解けたおもちで
坊主ぼうずきょうが大切、我々は明日が大事。夜更よふかしは身のさわりになるから、さあさあお休みとしよう』
 と云いながら、皆の人をうながして假寝の床にかれた。
 夜が明けた。教祖はだ東の空のしらまぬ内、小川の流れで手を洗い口をそそいで、うやうやしく神前にぬかづいて朝の祈願をめられた。このの朝の時、神前に行途かうとうかがったときに、教主〔王仁三郎聖師〕の口を通じて神歌しんかあらわれた。

  世の中の人の心のくらま山
    神の霊火ひかりに開くこのみち

 行く先はやましろくらやまであることが、の時はじめて決まった。一同は福島一家一門の人々に見送られて、八木の停車場へと急がれた。


△先で分る

 教祖が汽車の旅路は、此の日が始めてであった。汽車は一行の人々を乗せて、亀岡かめおか嵯峨さがえきを通り過ぎて、花園はなぞの駅にてひとず下車する事となった。
 禅宗の本山みょうしん峨々ががたる登塔伽藍がらんを横手に眺めながら、先立つ教祖は徒歩にておいの足の疲れさえ見せず、北野のさとなるてんまんぐうへと歩みを運ばれた。
 の日は陽暦の廿五日とて、にぎやかな天満神社の祭典がもよおされているのであった。丁度ちょうど教祖一行が着かれた時分は神輿みこし渡御とぎょの真最中にて、衣冠いかん束帯そくたいいかめしき祭官が、劉喨りゅうりゅうたる音楽にれて、多くの白丁はくちょうは其の前後を警備してねりす有様いと神々こうごうしく、社頭には老松古梅こばい鬱蒼うっそうとしておいしげかんこうの神徳がしのばれた。教祖は歩を拝殿まで進められて、うやうやしく柏手かしわでを鳴らして参拝された。
 北野天満宮をあとにして、教祖一行は道を北へと進めた。ここは名にし負う鞍馬くらまやま、教祖は夜もすがら祈願に専念であった。一夜を鞍馬神社にかして、一行は帰路に着くこととなったが、一同はの鞍馬もうでの神慮しんりょの程が解らぬので、教祖にわけうかがって見ると、ただ教祖は
『先へったら分りましょうからな』
 と雲をつかむような返事であった。けむに巻かれたような思いで、一同は綾部をして帰路を急いだ。


<<参考>>
大地の母 メモ3『鞍馬山出修』
大地の母 メモ4『鞍馬山出修』
大地の母 メモ4番外編 出口王仁三郎「手向けの花」

ばりの月の光はやましろ山城の、鞍馬くらまの山にかがやけど、おしえ御祖みおやの御心は、みだれたる世を治めんと、千々ちぢおもひ村肝むらきもの、心の空もかけくもり、の星の遠近をちこちと、深山みやまの奥に杖をき、岩窟いわやうち差籠さしこもり、斯世このよみだ鼻高たかがみを、ことむけやはし治めんと、しばしとねに雲のかさ、石の枕もいとひ無く、四人よたりとも引連ひきつれて、善言みやび美詞ことば神嘉言かむよごと、心をこめ宣給のりたまふ、その勲功いさをし八街やちまたの、しこ曲霊まがひ服従まつろひて、十五の月の有明ありあけに、鞍馬の山を立出たちいでて、あや高天たかま復命かへりごとまおまつりし大僧正たかつかみ数多あまた下神しもがみ引きつれて、本宮山ほんぐうやましづまりつ、神の御国みくにつくさむと、ちかいをたて高神たかがみの、言葉をしほかへし、もも十日とうか其間そのあいだ一間ひとまぢてたまひ、世の神々に神言かむことを、らせ給ひし畏こさよ。

テーマ : 心に響く言葉・メッセージ
ジャンル : 心と身体

プロフィール

真善美愛

Author:真善美愛
真善美愛まことと申します。東日本大震災の後、上野公園さんの『神言会-大本教神諭解説』に出会い、ぐちなお開祖・さぶろう聖師を通じてうしとら〔 艮 〕こんじんくにとこたちのみこと様に導かれます。それ以降、天の御先祖様(万軍の主、創造神)のお役に立ちたいと、良心神(個々の魂に宿る天帝の分魂、天照皇大御神)を奉じて活動しています。

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