出口澄「尽きぬ思い出 -開祖さまのことども-」

出口すみ子「尽きぬ思い出 ――開祖さまのことども――」(教示集-昭和27年4月)

 開祖は夜昼なしに神様と話をされるが、体はなんともないので、昼間は商いに出て歩かれます。大望な、結構なところに新宮本宮がなるから、村の者に知らしておかねばならんと神様がおっしゃるので、「出口直のいうことを、みんな聞いて下されよ」と、夜中にでも大声で叫ばれるのです。商いに出る時は、朝チャンとご飯を炊いて行かれるし、普段なさることは、何もおかしなことはないのです。商いに出る時も神様におたずねする。すると「今日はどこそこへ行け」と神様が指図をなさる。「承知しました」とおっしゃって、いつも行かれたものです。
 ある日のこと、「お直さんがドエライ勢いで座敷にあがって、仏壇をすっくり座敷へ放り出し、清めて清めて、仏を一生懸命おがんでいるので、恐ろしいからつれに来てください」と言って来たことがありましたが、あとで開祖さんに聞くと「神様が座敷につれて行かれるのや。見苦しいことや、といって掃除させられてな……」とおっしゃっていました。
 そんなことばかりさされるから、商いができない。そこで「あなたのおっしゃる通りしていますが、こんなことでは商いどころか、なんにもできません」と神様に怒りなさる。すると神様は「そんな小さいことかいや」と、男の声でおっしゃるそうで、「かなわんがよ」と、開祖は一人ごとを言っていることがありました。

 綾部町に火事があった時のことですが、「昨夜の火事は、この方が焼いたのだア」と、神様が大声で叫ばれたそうです。すると、向かいの家で機(はた)の音がしていたのが、ピタッとやんで、あわてて出て行ったそうです。組頭のところへ知らせに行ったのですな。すぐに組頭が警察へ訴えました。
 しかし、火事のあったその日に限って神様が、開祖さんを門口から一歩も出さなかったそうですが、村の人が一向神様の言うことを聞こうとしないので、神様が村の人をナブッとるのですな。
 巡査が四、五人やってきて「昨夜はどえらい火事やったが、お前が焼いたのやてな」というと、神さんが「この方は、人民の家を焼くような、そんな悪戯(わるさ)はいたさん」と言われたそうですが、それでも留置場に入れんと仕様がないというので教祖[注:直開祖]は留置場へ入れられたのです。綾部に初めて警察署ができたころの話です。
 四、五人の巡査が、開祖をかついで連れて行ったそうですが、「そなたはこちらの足を持て、そなたはこの手を持て」とおっしゃる。屈強盛りの巡査たちが「重たいのう、重たいのう」と、ウンウン言いながらかついでいる。「少々重たいぞ、一人ではないからの」といわれ、足がちょっとでも下がると「足一本でも落としたら、そなたの眼がつぶれるぞ」などとおっしゃる。ちょうどそのころ、十三日間も食べ物を取りあげられ、断食をしておられた時分なのに巡査たちは「どうも重くてかなわん、モ一人来て手伝ってくれ」といって、五、六人でかついで行ったというのです。
 留置場から署長や巡査のいる部屋までは、だいぶ離れているのですが、署長らのヒソヒソ話す秘密の話でも、よく聞こえるのですな。そして開祖がその話の受け答えを大声でなさるので、「どうして聞こえるのやろう」と不思議に思っていると、「千里万里先のことでも、この方にはみんな聞こえるぞ」と言われる。巡査たちも弱ってしまって、火つけもしとらんことが分かったので、というても、こんな有り様なので、留置場から出すわけにもいかず、そこで座敷牢をつくり、そこへ入れられることになったのです。

 「末子(ばっし)のおすみ、ちょっと起きてくだされ」 私が寝ていると、床の間の前に座って開祖が呼ぶのです。きまっていました。昔の田舎のことですから夜は灯がつけてありません。真っ暗です。起きて行って教祖の前に座ると、私のひたいをもんでもんで、グルグル、グルグルと、何十分かもんで、それが済むと、そこへ息を吹き込んでくれました。そして、「ご苦労やった、これでよい」と言われるので、また寝るといった調子でした。私としては、これがかなわんのや。「母さん、頭が痛いので、こらえておくれ」と、ウソを言ったことなどもありました。

 お筆先を書かれるようになったのは、「余り大きな声で、あなた[注:国常立尊様]が叫ばれるので、人から狂気[注:キチガイ]扱いをされて困ります」と、神さんに抗議をされたところ、「そんなら書いてくれ」と、神さんがおっしゃるので、紙と筆とを買うて来て、(ワシは字は知らんが、神さんが書くのやから……)と思って、筆を持っていると、ミミズのような字が書けたというのです。(しようがないな、こんなものでは)と思ったそうですが、これが筆先のはじまりでした。「三千世界一度に開く梅の花、艮の金神の世になりたぞよ。須弥仙山に腰をかけ、艮の金神守るぞよ」というお筆先やったのです。

「出口の屋敷に黄金の宝が埋けてある、それを掘って宝とせよ」と神さんがおっしゃる。貧乏やから、それを掘り出して、と思って神さんに伺うと、神さんは笑って「そんな小さいものやない」と言われる。「じきにだまされる」と開祖は笑っておられました。


テーマ : 心に響く言葉・メッセージ
ジャンル : 心と身体

プロフィール

真善美愛

Author:真善美愛
真善美愛まことと申します。東日本大震災の後、上野公園さんの『神言会-大本教神諭解説』に出会い、ぐちなお開祖・さぶろう聖師を通じてうしとら〔 艮 〕こんじんくにとこたちのみこと様に導かれます。それ以降、天の御先祖様(万軍の主、創造神)のお役に立ちたいと、良心神(個々の魂に宿る天帝の分魂、天照皇大御神)を奉じて活動しています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる