出口澄「花明山夜話(三)」

○出口すみ子「花明山夜話 (三)」(教示集 「木の花」昭和25年6月号)

[前略]

乕雄「松江の方はいかがでした。」
澄子「行くたびによくなっていて、本当にうれしいことやった。」
乕雄「お母さんはこれまでにも出雲はよく行かれましたですね。」
澄子「二十何回も行っているやろう。私が初めて出雲へ行ったのは、今から四十九年前で、開祖様、聖師様、それに役員を入れて十六人やった。私の十九の時でな、旧暦の五月やったと思うが[注:1901(明治34年)7月1日(旧5月16日)綾部出発、7月12-13日にかけて出雲大社参拝]、その時初めて夏蜜柑を食べて、おいしかったのをおぼえている。」
乕雄「そのころはまだ汽車がなかったのでしょう。」
澄子「そうや、ご開祖も、聖師様も、十六人の役員もゴザ、笠、脚絆で歩いて行ったのや。水色の地に十曜の紋の羽織を着てな、皆がそろいの姿でした。神界から『出雲ノ消エズノ火ヲ受ケ取リニユケ』という仰せで行ったのやが、わしは何のことか分からなかったが、あの時は初めての遠い旅で思い出深いな。」
乕雄「徒歩ですと、ずいぶん日数がかかりましたでしょう。」
澄子「二十日もかかってな。初めての晩は福知の下の養父(やぶ)で泊まったが、いまから思うと“ばくろ宿”やった。その時みんな風呂に入っていて、私一人部屋に座って一服していると、私の前に二十二、三くらいの美しい女がいてな。ちょっと人をひきつける美人で綺麗な女やなぁと見ていながら、もしこの女の肌に入れ墨があって、女の盗人やったら恐ろしいなぁと思うた。それから夕食後、私は厠へ行った時、その女が風呂へ入っているのが見えて上半身を見てしもうたが、見事な入れ墨をしていてな、わしはさっき感じたこととピッタリ合うたので、帰ってそのことを先生に話すと、先生も『今晩はだれも警戒せい』と言うちゃったが、次の朝、その女は役員さんから改心せいと云われていたが、「実はわたしはあなた方の懐中をねらってうけてきたが、見破られた以上、断念します」というて去っていったが。」
乕雄「時代ものの映画の一シーンですな。しかしそういう大切な御用の時につけてくるとは何かあったのでしょうな。」
澄子「その時、開祖は六十いくつで、ほかは皆若い者ばかりでしたが、開祖は『年よりのおばあさんの私が若い人の先に立って歩くことはあつかましいと思うし、私もえらいし[注:大変だし]、ゆっくり歩こうと思うが、後ろから神様が押されるので、つい早く歩くのや』と言われて、後ろから押される神様にもたれるようなお姿で大へん達者に歩かれた。
 それから松江に泊まったとき、瑪瑙の“こうがい”と“かんざし”と“根がけ”を買うてもろうてな、そのころ私は髪を丸髷に結うていたので、瑪瑙細工を買うてもらった時はうれしかった。たしか七十銭やったと思うが、そのころとしては大金やった。それが事件前まで手元に大切にしてあったが、あの事件[注:第二次大本事件]で失うてしもうた。
(二代教主、少し眼をつむられて)
 それから船に乗ったな。それから神様が教祖様の梅の杖を握ってグウッと回されて『この辺りから因縁の人が出て、神世にかえす御用をするようになる』と言われた。」
乕雄「この教えが松江で盛んになるのも、お仕組なのですね。」
澄子「綾部と松江はとくに因縁がある。大本には元伊勢のお水と出雲の火をうつしてあるやろう(※1)。前の大本事件[注:第一次大本事件]は大阪の梅田で起こり、こんどの大本事件[注:第二次大本事件]は松江で起こったのや。これもみな深いわけのあることや」
乕雄「大本事件の起こった十二月八日は釈尊が悟りを開いた日で、また太平洋戦争の発端になっていますね」
澄子「大本は世界の型になるところやから、そのことが、みんなよく分からんといかん。」
乕雄「ここは生やさしいところでないのですね。どうもありがとうございました。」

[後略]

(※1)
大本神諭「明治34年旧3月7日」
 元伊勢のうぶだらひと産釜の水晶の御水は、昔から傍へも行かれん尊い清き産水でありたなれど、今度の世の立(建)替に就いて、綾部の大本から因縁のある霊魂に、大望(たいもう)な御用をさして、世を立直すには、昔の元の水晶に変らん水を汲りに遣らしてあるぞよ。艮の金神の指図でないと、この水は滅多に汲りには行けんのであるぞよ。この神が許可を出したら、何処からも指一本触へる者もないぞよ。今度の元伊勢の御用は、世界を一つに致す経綸の御用であるぞよ。もう一度出雲へ行て下されたら、出雲の御用を出来さして、天も地も世界を平均(なら)すぞよ。この御用を済して下さらんと、今度の大望な御用は分明(わかり)かけが致さんぞよ。解りかけたらば速いぞよ。

テーマ : 心に響く言葉・メッセージ
ジャンル : 心と身体

プロフィール

真善美愛

Author:真善美愛
真善美愛まことと申します。東日本大震災の後、上野公園さんの『神言会-大本教神諭解説』に出会い、ぐちなお開祖・さぶろう聖師を通じてうしとら〔 艮 〕こんじんくにとこたちのみこと様に導かれます。それ以降、天の御先祖様(万軍の主、創造神)のお役に立ちたいと、良心神(個々の魂に宿る天帝の分魂、天照皇大御神)を奉じて活動しています。

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