大地の母 メモ8 邪神由来(3)

「管長(王仁三郎)はん、金毛九尾らは、ノアの大洪水の世の終末にも滅びなんだんでしゃっろか」
 二人の質問に王仁三郎は腰を据えなおし、きびしい表情に変わった。
「奴らも残った。カスのようにしがみついて、ともかくも国祖の慈愛のもとに残してもろたんや。さすがの八王大神常世彦さえ神性をとり戻し、大峠を越えてしばらくは、改心の誠を見せとった。けど、神でも人間でもない奴らはそうはいかん。いわば、神と人との邪悪の火水(いき)の寄せ集めから生まれた奴らには、もともと省みる力(かえりみる)、直霊(なおひ)などの持ち合わせがないさけのう。神怒を恐れて縮み上がっていたうちは天下も平安に治まっていたが、われよし(自己愛)、強い者がちの心が人間どもからなくならん限りは、いずれ勢いを盛り返してくる。しかも奴らは、下々の貧しい、力のない者には絶対に憑かん。困ったことには、力ある者、目的を持つ者を選んで憑きくさる」
「目的って、何の目的どす」
「野心じゃ。身欲から出た野心…御筆先にも、『目的者は神は使わん』とあるやろ」
「金毛九尾が今この時代(大正4年)に日本におったら、何を考えまっしゃろ」
「決まっとるわい。奴らは利口や。型の仕組みを見抜いて、とっくに日本に渡ってきとるぞ。奴らの目的はただ一つ、世界を握って自由にしたいのや。今や世界は九分まで奴らの思いのまま、だから四足ばかりの獣の世や。けど安心せい。九分九厘で奴らの悪の仕組みはくつがえる。いや、くつがえさなならんのや」
「そのことですわ。その後の一厘の仕組み……」
 王仁三郎がさえぎった。
「お久はん(金毛九尾が憑いた福島久子/ナオ開祖三女)の説なら、ようく審神せいよ。奴らの思惑を見透かす眼力がのうて、どうして三千世界の立替え立て直しができるかい。よいか、悪霊どもが世界を自由にするには、その胞衣(えな)であり型代(かたしろ)である日本を占領せなならんのや。世界の艮(うしとら)には、奴らの一番恐ろしい国祖・国常立尊の威霊が封じこめてある。ところが天運巡りきて明治25年旧正月、艮の金神は稚姫君尊(わかひめぎみのみこと)の因縁の身魂・出口直(ナオ)に下られ、大本を創られた。ついに煎り豆にも花の咲く時節がきたんや。奴らが必死の妨害にこんはずはなかろう。金毛九尾だけやない。すでに邪鬼も大蛇も、三邪神系それぞれが眷属を率いて大本に侵入してきとる。奴らはまず血統の身魂にもぐりこみ、力を得て、何としてでも大本の艮(うしとら)坤(ひつじさる)二神のお働きを殺したいのや。一度目の立替えの恐怖を体験しとる奴らやさけ、『立替えは二度目が最後、三度目はないぞよ』のお筆先を知って、さぞ慌ててるこっちゃろ」
 梅田(弟子)が不思議そうな顔をした。
「金毛九尾は『艮の金神さんの世になったら今までのように悪ではいかんから改心したい』と(福島久子に)詫びにきとるそうどすで。(ナオ開祖の)お筆先を知って、国祖の御威光を恐れてきたんなら、結構なことやおへんか」
「ばかな、そんなことで改心する金毛九尾かい! 真正直で誠一筋のお久はんやから、そういう甘い言葉でコロッと騙される。よう考えてみい。奴らの本性そのものが、天地部判以来と言っていい悪のかたまりなんや。もし真実改心して善に立ち返りたいというなら、奴らの存在そのものが消え失せねばならんのや。そんななまやさしい期待はでけるけい!」
「金毛九尾は『宮中に入って悪さしとる』と白状したそうですなあ。もしほんまなら、お久はんの言葉も嘘とばかり言えまへん」
 まだ半信半疑の二人に王仁三郎はしばし黙したが、ややあって言った。
「お久はんの言葉がすべて嘘やとは言わん。いや、信じさせるためには、金毛九尾のやつ、あえて正直な告白もする。下々の人民では知ることのできん真実もさらけ出して、奴らの手のうちを見せる。ここだけの話やが、奴らが宮中深く入りこんどるのは確かや…」
「お久はんにかかっとる金毛九尾の奴を改心させることは、でけんのどすか。たとえば鎮魂帰神で…」
「そう簡単にいくかい」 王仁三郎は空を見上げた。凍ったような空に雲が動いていた。
「見い、あの雲はどこから来てどこへ行く。宇宙間一物といえども原因なく因縁なく現れぬものはない。けれどその真の原因さえ、容易につかめぬ。ましてあの雲がどのように変化するか、だれ一人はっきり言いきることはでけんやろ。お久はんひかかった金毛九尾がどんな手を打ちくさるか…ただわしらは、大神にひたすら祈り、誠をもって言向けやわす以外にはないのや」

テーマ : スピリチュアル
ジャンル : 心と身体

プロフィール

真善美愛

Author:真善美愛
真善美愛まことと申します。東日本大震災の後、上野公園さんの『神言会-大本教神諭解説』に出会い、ぐちなお開祖・さぶろう聖師を通じてうしとら〔 艮 〕こんじんくにとこたちのみこと様に導かれます。それ以降、天の御先祖様(万軍の主、創造神)のお役に立ちたいと、良心神(個々の魂に宿る天帝の分魂、天照皇大御神)を奉じて活動しています。

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